浸透をよくする為や、刷毛足ムラを防止するため、又、汚れや生地難の縦線をカバーするため、地入れ水や染料に薬品を入れます。均染剤、ヒキエード、アンモニア、泡消し、サッシ防止剤等があり、生地の状態を見て何をどのくらい使うかの判断も職人の大切な仕事です。

刷毛は主に鹿や馬、人等の毛で作られており、一寸刷毛、三寸刷毛、五寸刷毛、小刷毛、丸刷毛等があります。刷毛の良し悪しも作品に影響するので痛んでいたり状態の悪いものは使いません。刷毛は、常によく洗い悪くなれば取り替えます。濃色、淡色等により分けて使います。

工場は、三丈柱が17本、四丈柱が10本、濃地用と薄地用それぞれにあり、多くの反物をゆとりを持って染められるように天井も高く約８ｍの高さで作られています。

無色地を染める「引切り」は引染の主な仕事ですが、この工程には全体をムラなく均一に染める高い技術が要求されます。

黒留のように柄の部分を避けて濃い色で染める場合は、色が飛ばないように注意します。

絵羽がデザインされているぼかし染めの時は、合口（着物にした時のボカシのライン）を合わせるため、２）の「アタリ」が必要になります。

帯や八掛は着物の3分の１の長さしかないので２〜３本縫いつないで染めます。帯は金糸が入っていたり、生地がさまざまです。特に塩瀬は一番難度が高い生地です。

ショールの場合は、特別に作られえた長い伸子を使って張ります。

目引染（めびきぞめ）は、古い着物等を違う色で上から染めて甦らせる事で、風合いの違う新品同様の物になるので、人気があります。

糊伏せのある場合は糊の状態を見なければなりません。

ローケツ染めです。他に、細かくローを撒き散らせたロー吹雪もあります。
ローケツは染めた後ローに付いた染料から色落ちするのを防ぐため、きれいにふき取ります。